造血

造血

血液中の血液細胞(血球)には寿命があり、毎日新しい血球が骨の中心部にある骨髄にある造血幹細胞によって作られています。健康な成人者では、末梢循環内の定常レベルを保つために約1,000の新しい血液細胞が毎日生成されています。

白血病

白血病

白血病は血液や骨髄細胞のがんの一種です。通常、血球は健康な骨髄で生成されています。しかし何らかの原因で骨髄が、異常な血液細胞(完全に成熟していない段階の白血球)を大量に生成する場合があり、これが白血病です。これらの異常細胞は健康な血液細胞を減少させ、血液が適切に機能することを困難にしていきます。白血病には、急性リンパ性白血病 (ALL)、急性骨髄白血病 (AML)、慢性リンパ性白血病 (CLL)、慢性骨髄白血病 (CML) などの色々な種類があります。臓器のがんとは異なり、循環器系がんである白血病は、特定の部位に絞って取り除くことができません。このため、大量の抗がん剤の投与や全身放射線照射が白血病細胞を取り除く現在可能な治療方法となっています。

造血幹細胞移植 (HSCT)

造血幹細胞移植 (HSCT)

生成初期から、白血病細胞を含めたがん細胞の見た目は正常細胞と非常に類似しており、これががん細胞の除去を困難にして原因の一つです。両者の一番の違いはその成長のスピードであり、がん細胞の成長速度は正常細胞に比べて非常に速くなっています。このがん細胞の成長スピードに着目して、がん細胞そのもの、またはがん細胞中の成長スピードを司る細胞の機能を選択的に抑制するのが、現在の使用されている抗がん剤の基本的なメカニズムです。一方で、正常細胞の中には毛細胞や血液細胞の様にがん細胞と同様なスピードで成長するものもあります。現在の抗がん剤治療に共通した副作用は、がん細胞以外の正常細胞の成長の成長も抑制することによってもたらされます。中でも一番の問題は赤血球 (RBCs)、白血球 (WBCs)、血小板を生成する造血幹細胞 (HSCs) への影響です。抗がん剤治療によって生じた造血機能へのダメージを復元するには、骨髄移植などドナーからの造血幹移植(HSCT)により正常な血液の生産システムを再構成する必要があります。

ヒト白血球抗原 (HLA)

ヒト白血球抗原 (HLA)

この造血幹細胞移植で重要となるのが、ヒト白血球抗原 (HLA) の適合性です。自分のHLAのタイプに合わないものはすべて異物と認識して攻撃を始めてしまうため、HLAの適合性が重要視されます。HLAは自己と非自己を区別するマーカーと言われており、体内のほとんどの細胞で見つけることができます。免疫システムはHLAのマーカー機能を使ってどの細胞が体内に属すべき (正常) でどれがそうでない (異質) であるかを認識します。造血幹移植では、8個中6個以上 (または10個中8個以上) の HLA マーカーが適合することがドナー(提供者)とレシピエント(被提供者)の間で必要です。このような適合したドナーは見つけるのが困難ですが、HLAは両親からその半分ずつを受け継ぐため、兄弟姉妹では見つかる確率は高くなります。血縁者で適合者が見つからない場合の代替手段は非血縁である匿名ドナーからの骨髄バンクですが、適合者が見つかる成功率は極めて低く、数百~数万分の1の確率でしか一致しないといわれています。

移植片対宿主病 Graft-versus-Host Disease (GvHD)

移植片対宿主病 Graft-versus-Host Disease (GvHD)

GvHD はドナーからの造血幹移植による拒絶反応の結果、起こる深刻な合併症です。GvHD はドナー由来の免疫システムが患者 (被提供者) の細胞/組織を異物として認識してしまうことが原因となります。GvHDは HLA が適合するドナーの場合でも発症するなど、HLAの適合度合にかかわらずほとんどの全て造血幹移植で起こります。このうち、軽度の GvHD は化学療法や放射線治療によっても残存し続けている白血病細胞を除去する等、正常な免疫反応も表出するため、移植の結果としてポジティブな反応(これを「移植片対白血病効果:GVL効果)」と言います)と見なされます。しかし、重度の GvHD は皮膚細胞や内臓管内の細胞、肝臓細胞などに著しいダメージを与え、患者の生命を脅かすネガティブな反応と見なされます。

重度なGvHD を治療する現在の選択肢は免疫抑制剤の使用であり、GvHD の治療に関しては高い効果があります。しかし、免疫抑制剤は全ての免疫反応を抑制するように設計されており、結果として感染症の発症や白血病の再発リスクが高くなり、造血幹細胞移植手術そのものに続く主な死亡原因となっています。このように、白血病の発症により造血幹細胞移植を受けた患者は (1) 免疫抑制剤を使って GvHD を軽減させるが感染や再発のリスクが高くなることを許容するか(2)白血病の再発を避けるために免疫抑制剤の使用も含めたどの治療も選択しない代わりにGvHD を許容するかという究極の選択を求められています。

RGI-2001

RGI-2001

当社が開発中のRGI-2001 は α ガラクトシルセラミド (a CD1d ligand) のリポソーム製剤であり、免疫寛容の, 主要な働きをする制御性 T 細胞 (Treg) を増加させる効果があります。このTreg細胞はGvHDの治療に対して、大きな可能性が示されています。独立系の研究者による研究では、RGI-2001によって増加したTreg細胞は移植後の患者の体内で増殖するドナー由来のリンパ球による白血病細胞に対する免疫効果(GVL効果)を損なわずにGvHDを抑えることができるため、患者の生存率があがることが証明されています。T 細胞全体を抑制する免疫抑制剤とは異なり、RGI-2001は正常な免疫機能を維持しながらGvHDの症状を軽減する特定のTreg細胞を選択的に増加させることで、感染症の発症や白血病の再発の可能性を軽減することが可能となりますなお、RGI-2001は造血幹細胞移植に伴うGvHD 予防のための治療薬として米国 FDAからオーファン・ドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定を受けています。

臨床試験

臨床試験

RGI-200は前臨床試験での有効性研究でポジティブな結果を得たため、2012年から米国において、臨床試験の第1相/第2相を開始しました。安全性と有効性の検証するための臨床試験として、抗がん剤投与や全身放射線照射等の前処理に続く、骨髄または末梢血液幹細胞移植を行う50人の白血病患者を対象としています。この臨床試験は、フレッド・ハッチンソンがん研究センター、スタンフォード大学医療センター、オハイオ州立大学医療センター、カリフォルニア大学サンディエゴ校、ハーバード大学のマサチューセッツ総合病院とダナ・ファーバーがん研究所の両機関などの7つの何れも世界的に一流な医療機関で行われています。GvHD に対する RGI-2001に関する情報に関しては、clinicaltrials.gov をご覧になるか当社までご連絡ください。